住み込み就職の引っ越しに補助金は使える?移転費・移住支援金と会社負担の違い

編集部

住み込みの仕事に就く人なら誰でも引っ越し費用が出る、という国の制度はありません。ただし、雇用保険を受け取れる人や、東京23区から地方へ移る人など、条件が合えば使える公的な制度があります。

使えるかどうかは、次の点で変わります。

  • 雇用保険の受給資格があるか

  • 仕事を見つけた経路(ハローワークなどの紹介か)

  • どこからどこへ移るか

  • 会社がいくら出すか

この記事では、住み込みの就職に関係する公的な制度と、会社が出す赴任交通費との違い、申請の前に確かめる順番を説明します。制度の内容は2026年11月2日に一次情報で確認しました。実施期間・支給額・受付状況・申請条件は制度や自治体によって異なるため、応募や転居の前に担当窓口で最新の案内を確かめてください。

公的な支援と会社が出す費用の違い

制度・費用

出すところ

主な対象

確かめる窓口

移転費

雇用保険(国)

雇用保険の受給資格者等が、ハローワークなどの紹介で就職し、住所を変える必要がある場合

住所を管轄するハローワーク

広域求職活動費

雇用保険(国)

雇用保険の受給資格者等が、ハローワークの紹介で遠くの会社へ面接に行く場合

住んでいる所を管轄するハローワーク

移住支援金

都道府県・市町村

東京23区に住んでいる、または東京圏から23区へ通勤していた人が、東京圏の外などへ移り、対象の求人への就業・テレワークでの仕事の継続などの条件に当てはまる場合

移住先の都道府県・市町村

赴任交通費・引っ越し費用

就職先の会社

会社が決めた条件に合う人

応募先の会社

会社が出す費用と公的な支援は、別のものです。移転費や広域求職活動費は、会社から同じ目的の費用が支給されるか、その額によって支給の可否や金額が変わります。会社の負担額をハローワークに伝えて確認します。

雇用保険の移転費とは

移転費は、雇用保険の受給資格者等が、紹介された仕事に就くために住所や居所を変える必要がある場合に、本人と家族の移転の費用が支給される制度です。紹介元として認められているのは、ハローワーク、特定地方公共団体、または職業紹介事業者です(職業紹介事業の停止や業務改善の命令を受けている事業者の紹介は対象外)。後で説明する広域求職活動費は、ハローワークの紹介が条件で、紹介元の決まりが違います。

就職のために利用する場合の主な要件は次のとおりです。給付制限を受けている場合の扱いなども含め、ハローワークインターネットサービスの案内と窓口で確認してください(2026年11月2日確認)。

  1. 雇用保険の受給資格者等であること

  2. 待期の期間が過ぎた後に就職したこと

  3. ハローワーク、特定地方公共団体、または職業紹介事業者が紹介した仕事に就くために、住所や居所を変えること(雇用期間が1年未満の仕事などは除く)

  4. 通勤に往復4時間以上かかるなどの理由で、ハローワークが住所を変える必要があると認めること

  5. 就職先から移転の費用が出ない、または出る額が実際にかかった費用に足りないこと

支給の内容と手続きは次のとおりです。

  • 支給されるもの:鉄道賃・船賃・航空賃・車賃・移転料・着後手当の6種類。もとの住所から新しい住所までの順路で計算されます

  • 申請:移転した日の翌日から1か月以内に、住所を管轄するハローワークへ、受給資格者証などを添えて行います

  • 返還:紹介された仕事に就かなかったときや、移転しなかったときは、受け取った額を返す必要があります

求人サイトで見つけて自分で応募した場合 移転費は「紹介」を受けた仕事が対象です。求人サイトで見つけて、自分で会社に直接応募しただけでは、この紹介の条件を満たすとは限りません。スミテン職は求人情報を掲載するサイトで、職業紹介は行っていません。そのため、スミテン職の求人に自分で応募しただけでは、移転費の「紹介」の条件には当たりません。移転費を使いたいときは、応募の前に、住所を管轄するハローワークで、その就職が対象になるかを確かめてください。

契約社員などの場合 雇用期間が1年未満の仕事は、対象から外れます。契約社員などで応募する場合は、契約期間を先に確かめます。

就職に伴う移転費用について担当者に相談する男性と女性のイメージ

※画像はイメージです。

広域求職活動費は面接に行くときの交通費

広域求職活動費は、ハローワークの紹介で遠方の会社へ面接などに行く際の費用を支援する制度で、転居のための移転費とは別です。交通費の対象となる距離などの要件に加え、宿泊料には、交通費計算の基礎となる距離が400km以上という条件があります。対象や金額は出発前にハローワークで確認します。

  • 対象:雇用保険の受給資格者等が、ハローワークの紹介で遠くの会社を訪問した場合などです。住んでいる所を管轄するハローワークから、訪問する会社の所在地を管轄するハローワークまでの距離が、往復200km以上ある必要があります

  • 申請:面接などを終えた日の翌日から10日以内に行います

  • 回数の上限:2026年8月1日から上限ができました。雇用保険の所定給付日数に応じて3回から12回です(厚生労働省「広域求職活動費に関するお知らせ」、2026年11月2日確認)

  • 会社から出る場合:会社から面接の交通費が出ると、その分が差し引かれます

移住支援金は移住元・移住先・就業条件で決まる

移住支援金は、都道府県と市町村が実施する制度です。国の地方創生の案内では、移住元・移住先・就業等の要件を満たす必要があります。実施期間や支給額などの詳細は、移住先の自治体の案内で確認します(2026年11月2日確認)。

  • 移る前:移住の直前10年間で通算5年以上、東京23区に住んでいた、または東京圏(東京都・埼玉県・千葉県・神奈川県のうち条件不利地域を除く)に住んで23区へ通勤していた。直近1年以上は23区に住んでいた、または通勤していたこと。会社員として23区へ通勤していた期間は、雇用保険に入って通勤していた期間に限られます。

  • 移る先:東京圏の外の道府県、または東京圏の中の条件不利地域で、この事業を実施している市町村

  • 移った先での仕事など:次のどれかに当てはまること

    • 移住支援金の対象として道府県のマッチングサイトに載っている求人に就く(プロフェッショナル人材事業などを使った就業も含む)

    • テレワークで、移る前の仕事を続ける

    • 市町村が地域とのかかわりのある人(関係人口)として認める、市町村ごとの条件を満たす

    • 起業支援金の交付決定を1年以内に受けている

支給額と条件は次のとおりです。

  • 支給額:単身は60万円以内、世帯は100万円以内(18歳未満の子どもを連れて移る場合は加算あり)。都道府県が額を決めます

  • 申請:転入後1年以内です。申請後5年以上住み続ける意思があることなどが条件です

  • 返還:申請から5年以内に転出した場合などは、返す必要があります。返す額(全額か半額かなど)や条件は、自治体の決まりで決まります。たとえば長崎市は、申請日から5年以内に市外へ転出したときや、マッチングサイトに載っている法人に就業して申請日から1年以内に退職したときなどに、全額または半額を返すと案内しています(長崎市の案内、2026年11月2日確認)

住み込みの求人に応募しただけでは対象になりません。就業で対象になるのは、移住先の道府県のマッチングサイトで移住支援金の対象として載っている求人などです。テレワークや関係人口など、ほかの区分に当てはまるかも含めて、移住先の自治体で確かめます。寮に入るときに住民票を移すかどうかも関係するので、「社員寮の住民票は実家のまま?移す判断と届出」もあわせて確かめてください。

ほかにも、次の制度・情報があります。対象や内容は自治体ごとに違うので、移住先の自治体の情報で確かめます。

  • 大学を卒業してすぐ地方に就職する学生向けの「地方就職支援金」

  • 厚生労働省の地方就職の情報サイト「LO活」で紹介している、道府県ごとの就活の交通費の助成など

新生活へ移るためにスーツケースを持ってアパートを出る若い男性

※画像はイメージです。

会社の赴任交通費・引っ越し費用との関係

会社による赴任交通費や引っ越し費用の支援は、公的な制度とは別に条件を確認します。対象となる費用、上限、立て替えの必要性、受け取る時期、必要な領収書を整理してください。

これらは会社の待遇で、公的な支援の対象求人であることを示す記載ではありません。会社が負担する費用の項目・金額・支払日を確認し、ハローワークに伝えて、公的な支援との調整や支給の可否を確かめます。会社の赴任交通費の見分け方は「住み込みの赴任交通費は自己負担?前払いと立替精算の見分け方と応募前に聞くこと」で説明しています。

申請の前に確かめる順番

制度ごとに、使えるかどうかを決める時期が違います。後からでは対象にならないものもあるので、次の順で確かめます。

  1. 雇用保険を受け取れるかを確かめる:移転費と広域求職活動費は、雇用保険の受給資格者等が対象です。前の会社を辞めた人は、ハローワークで手続きの状況を確かめます

  2. 応募の前にハローワークに相談する:移転費は紹介を受けた仕事、広域求職活動費はハローワークの紹介を受けた求人が対象です。応募した後では紹介を受けられないことがあります

  3. 東京23区から移る人は移住先の自治体を確かめる:自治体が事業を実施しているか、自分がどの区分で対象になるか(対象の求人への就業など)、返還の条件を確かめます

  4. 会社が出す費用を確かめる:金額、支払いの時期(前払いか、後から精算か)、辞めたときに返す決まりがあるか

  5. 領収書や切符を取っておく:移動や引っ越しにかかったお金の記録を残します

  6. 期限を守る:

    • 移転費:移転した日の翌日から1か月以内

    • 広域求職活動費:終えた日の翌日から10日以内

    • 移住支援金:国の案内では転入後1年以内。移住先自治体の受付期間や就業等の条件も確認する

最初の給料日まで手持ちのお金で足りるかは「住み込みで入社したら最初の給料日はいつ?それまでの生活費と不足額の計算」で計算できます。

引っ越しに伴う支援制度の申請資料と確認事項を机の上で整理する人の手元

※画像はイメージです。

よくある質問

Q. 雇用保険を受け取っていない人は使えませんか。 移転費と広域求職活動費は、雇用保険の受給資格者等が対象です。移住支援金は雇用保険の受給とは関係なく、移る前に住んでいた場所や、移った先での就業などの条件で決まります。自分がどれに当てはまるかは、ハローワークや移住先の自治体で確かめてください。

Q. 会社が引っ越し費用を出してくれる場合、移転費も受け取れますか。 移転費は、会社から移転の費用が出ない場合か、出る額が実際にかかった費用に足りない場合が対象です。会社が全額を出す場合は対象にならないことがあります。

まとめ

住み込みで働くことだけを条件に引っ越し費用が出る公的な制度はありません。ただし、雇用保険の移転費・広域求職活動費や、東京23区から移る人の移住支援金など、条件が合えば使える制度があります。紹介の経路や申請の期限が決まっているので、応募や引っ越しの前に、ハローワークや移住先の自治体、応募先の会社に確かめておきます。

公的支援の窓口と会社の担当者に、対象費用と申請期限をそれぞれ確認します。同じ費用への支給が重なる場合の扱いも、申請前に確かめましょう。

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