「型枠解体」「ばらし」という求人を見て、どんな作業なのか知りたい人に向けた記事です。型枠解体工は、コンクリートが固まった後に型枠を外し、整理して現場から搬出する仕事です。型枠を組み立てる型枠大工とは、担当する工程が違います。ただし、型枠をいつ・どの順番で外すかは解体工が自分で決めるものではなく、施工計画や指示に従います。この記事では、型枠大工との違い、外すタイミングと順番の考え方、作業の流れ、未経験者の仕事、資格を解説します。
型枠解体工は、固まったコンクリートから型枠を外して片付ける仕事
鉄筋コンクリートの建物は、鉄筋の周りを型枠で囲み、そこへコンクリートを流し込んで固めてつくります。型枠は、コンクリートが固まるまでの「鋳型」の役割をするものです。
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」では、「型枠解体工」は型枠大工の別名として扱われています。そのうえで、コンクリートが固まった後に型枠を取り外す作業は、大規模な工事では解体を専門に行う型枠解体工が行うこともあり、小さな工事では型枠大工が行う、と紹介されています。
職種 | 担当の中心 |
|---|---|
型枠大工 | 型枠の加工、建込み、組立て |
型枠解体工 | コンクリート打設後の型枠の取り外し、整理、搬出 |
組立ての仕事については「型枠大工の仕事内容」で解説しています。なお、「解体工」は建物そのものを取り壊す仕事で、型枠解体工とは対象が異なります。
型枠はコンクリートを打った直後に外せるのか
外せません。コンクリートは、流し込んでから一定の強さになるまで時間がかかります。早く外しすぎると、形が崩れたり、ひび割れたりするおそれがあるためです。
建築基準法施行令第76条と、それに基づく告示(昭和46年建設省告示第110号)では、型枠(せき板)や支柱を残しておく期間について、
建物のどの部分か(柱・壁の側面か、スラブや梁の下か)
使うセメントの種類
上に載る荷重の状態
気温や養生の温度
に応じて定めています。日数で判断する方法と、コンクリートの強さ(圧縮強度)を確かめて判断する方法があります。
つまり「見た目が固まったから外す」という判断はしません。いつ外すかは、施工計画や工事の管理者の指示で決まります。型枠解体工は、指示された範囲を、指示された順番で外すことが仕事の前提です。
解体する順番を勝手に決めてはいけない理由
型枠の中には、床(スラブ)や梁の下で、固まる前のコンクリートの重さを支えているものがあります。これを支える柱や梁の組み物を「型枠支保工」といいます。
公共建築工事標準仕様書では、スラブ下と梁下のせき板は、支柱を取り外した後に取り外すことを原則としています。ただし、これにより難い場合は監督職員と協議する扱いです。現場で解体工が独自に順番を変更するものではなく、施工計画や指示に従って作業します。
また、労働安全衛生法令では、型枠支保工の組立てまたは解体の作業を行うとき、事業者は「型枠支保工の組立て等作業主任者技能講習」の修了者の中から作業主任者を選任し、その人に作業に従事する労働者の指揮などをさせることとされています。解体作業は、作業主任者の指揮のもとで進めるものです。
型枠解体の作業の流れ
例として次のような工程があります。実際の順序や役割分担は、会社や現場によって異なります。
朝礼・打ち合わせで、その日に外す範囲と順番、立入禁止にする場所を確認する
型枠を締め付けている金物(締付金物)を外す
柱・壁の側面のせき板を外す

指示に従って支保工(支柱など)を外し、スラブ下・梁下のせき板を外す

外した型枠から釘を抜き、付着したコンクリートを落とす

型枠材・金物・支柱を種類ごとに分けて整理し、束ねる

次の階で使う材料を上階へ上げる、または現場から搬出する
作業場所を清掃し、残った釘や金物を拾う
外した型枠を次の階でもう一度使う(転用する)現場では、整理の丁寧さが次の組立ての早さに影響します。
未経験者が最初に担当する作業
担当範囲は会社や現場によって異なりますが、未経験者は次のような作業から始めることがあります。
外された型枠材を、決められた置き場まで運ぶ
型枠材の釘抜き、付着したコンクリートの除去
金物や支柱を種類・長さごとに仕分けて数える
材料を束ねて、トラックへの積込みを手伝う
作業後の清掃、落ちている釘や金物の回収
仕分けを間違えると、次の組立てで部材が足りなくなったり探す手間が増えたりします。種類と数を正確に扱うことが、この仕事の基本になります。
資格・教育
型枠解体工として入職するために、全員があらかじめ取得しなければならない1つの資格があるわけではありません。ただし、求人ごとに応募条件は異なり、担当する作業によっては法令で定められた教育の受講や資格が必要になります。
資格・教育 | 内容 |
|---|---|
型枠支保工の組立て等作業主任者 | 型枠支保工の組立てまたは解体の作業で、事業者が技能講習修了者の中から選任する作業主任者。受講には実務経験などの条件がある |
足場特別教育 | 足場の組立て・解体・変更の作業に係る業務(地上または堅固な床上での補助作業を除く)。足場の上で型枠を外すだけの場合とは区別される |
フルハーネス特別教育 | 高さ2m以上で作業床の設置が困難な場所で、フルハーネス型墜落制止用器具を使用する作業(ロープ高所作業を除く) |
玉掛け | 型枠材をクレーンで吊る作業を担当する場合。つり上げ荷重1t以上は技能講習、1t未満は特別教育 |
職長教育 | 資格ではなく、新たに職長等の職務に就く人に対して、事業者が行う教育 |
技能検定「型枠施工」(型枠工事作業) | 型枠施工の技能水準を評価する国家検定。働き始めるための法令上の必須免許ではない。経験を積んだ後の技能証明として受検を目指せる |
作業主任者は経験を積んだ人が担う役割で、入社してすぐ全員に求められるものではありません。どの講習をいつ受けるかは、会社に確認しましょう。
安全面で気をつけること
型枠解体では、外した材料が落ちる、倒れるといったことへの注意が欠かせません。
落下物:上で外した材料が下に落ちないよう、立入禁止の範囲を決めて作業する
墜落:高さ2m以上で墜落のおそれがある場合、場所の状況に応じて作業床の設置や、端・開口部への囲い・手すり・覆い等の措置
釘の踏み抜き:釘が出たままの材料を置かない、踏み抜きに対応した安全靴を使う
材料の荷崩れ:束ねた材料を積み上げすぎない
暑さ:法令上「熱中症を生ずるおそれのある作業」に該当する場合、事業者は症状を報告する体制を整え、作業からの離脱・身体の冷却・必要に応じた医師の診察等の手順を定めて周知する
住み込みで働く場合に確認すること
型枠解体の作業日は、コンクリートを打つ日や型枠を外せる日に合わせて決まる場合があります。住み込み・寮付きで働く場合は、次の点を確かめておきましょう。
寮から現場までの移動手段と、現場が変わったときの扱い
雨天などで作業がない日の賃金(給与形態や就業規則・賃金規定等によって異なる)
寮費・食費と、給与からの差し引き方
作業着や安全靴、手袋などの支給の有無
求人票で確認するポイント
項目 | 見るところ | 確認したい理由 |
|---|---|---|
仕事内容 | 解体のみか、組立てもあるか | 型枠大工の仕事も含むかで覚えることが変わるため |
現場 | 建築か土木か、現場の範囲 | 移動と生活リズムに関わるため |
給与形態 | 日給か月給か、休工日の扱い | 月ごとの収入の見通しを立てるため |
契約形態 | 雇用契約か、請負・業務委託か | 社会保険や休業時の扱いが変わるため |
資格支援 | 講習の費用負担 | 将来の役割を広げるため |
支給品 | 安全靴、手袋、保護具 | 最初にかかる費用を見積もるため |
面接で聞いておきたい質問
「型枠の解体だけを担当しますか。組立ても担当しますか」
「最初の1か月は、どのような作業を任されますか」
「雨の日やコンクリートを打てない日の給与はどうなりますか」
「作業主任者の講習などを受ける機会はありますか」
「寮から現場まで、どのように移動しますか」
よくある質問
Q. 「ばらし」とは何ですか?
型枠を外す作業を指して、現場で使われる呼び方です。求人票では「型枠解体」「型枠ばらし」などと書かれていることがあります。
Q. 型枠解体から型枠大工に進むことはできますか?
会社によっては、解体の経験を積んだ後に組立ても担当する場合があります。解体で型枠の構造を知っておくことは、組立てを覚えるときの助けになります。将来組立ても覚えたい場合は、面接でその道があるかを聞いておきましょう。
Q. 型枠解体は力仕事ですか?
型枠材や支柱を運ぶ作業が含まれます。どの程度の重さの材料を扱うか、運搬に機械を使うかは現場によって異なるため、面接で確認してください。
まとめ
型枠解体の仕事を理解するうえで押さえたいのは、「外すタイミングと順番は、計画と指示で決まる」という点です。
このことが分かっていれば、
自分が担当するのは、指示された範囲をていねいに外し、整理すること
作業主任者の指揮のもとで作業が進むこと
解体の段取りが、次の階の組立てや工程全体につながっていること
経験を積めば、講習を受けて任される範囲が広がること
が見えてきます。反対に、仕事の全体像を知らないまま入ると、「なぜ待つのか」「なぜこの順番なのか」が分からず戸惑うことがあります。
応募先を選ぶときは、解体だけの会社か、組立てまで経験できる会社かを基準にすると、自分の将来像と照らし合わせやすくなります。
気になる求人があれば、仕事内容欄に「解体」「組立」「搬出」のどれが書かれているかを見比べてみてください。建物が一階ずつ立ち上がっていく現場で、自分の段取りが工事を前に進めていく手応えを感じられるはずです。

