住み込みの仕事に応募するとき、手元のお金が少ないと「最初の給料が入るまで暮らせるか」がいちばんの心配になります。
最初に確かめるのは、初回の給料が振り込まれる日と、その日までに手持ち資金から実際に出ていくお金の2つです。これが分かれば、足りるかどうかは計算で判断できます。給与から天引きされる費用は、初回給料日前の支出には含めず、給料日の手取り見込額に反映します。
この記事では、入社日から初回の給料日を数える方法、初回給料日までに手持ち資金から払う費用と給料から引かれる費用の分け方、2回目の給料日までの資金繰り表、求人票の読み方、足りないと分かったときに会社へ確認する順番をまとめます。前払い制度そのものの仕組みは「住み込み求人の給与前払いとは?日払い・週払いとの違いと確認8項目」で扱っているので、ここでは資金計画に使う部分だけを取り上げます。
最初の給料日は「入社日・締め日・支払日」で決まる
給料は、締め日までに働いた分を、決められた支払日に受け取るのが基本の流れです。労働基準法第24条は、賃金を毎月1回以上、一定の期日を定めて支払うことを定めています。また、賃金の締切日と支払の時期は、雇い入れのときに会社が明示する労働条件で、原則として書面で受け取る項目です(労働基準法第15条。本人が希望すれば、FAXや電子メールなど書面として出力できる方法でも明示できます)。求人票の給与欄に「月末締め翌月20日払い」のように書かれていれば、そこから初回の給料日を数えられます。
月末締め・翌月20日払いの会社に入社した場合、通常の流れで数えると次のようになります。
入社日 | 初回の給料の対象 | 初回の給料日 | 入社日から初回給料日まで |
|---|---|---|---|
4月1日 | 4月1日〜30日の勤務分 | 5月20日 | 49日 |
4月20日 | 4月20日〜30日の勤務分 | 5月20日 | 30日 |
月末締め・翌月20日払いを当てはめた計算上の例です。支払日が土日祝日に当たるときの扱いや、入社月の給料をいつ支払うかは会社の決まりによるため、実際の初回振込日は会社に確認してください。
4月1日に入社すると、最初の給料まで7週間ほどあります。同じ月末締めでも、支払日が翌月15日なら44日、翌月25日なら54日と、支払日によって日数が変わります。
月の後半に入社すると、初回の振込額が小さくなることがある
上の表で4月20日に入社した場合、初回の給料日は早く来ますが、初回の給料は4月20日から30日までの勤務に対応する給与です。実際の勤務日数や計算方法は会社の規程によります。入社した月を勤務日数に応じて計算する(日割りにする)会社では、月給制でも1か月分より少ない額になります。
初回の振込額が小さいと、それだけでは次の給料日(この例では6月20日、入社から61日後)まで持たないことがあります。月の後半に入社する場合は、初回の給料日だけでなく、2回目の給料日までを含めて計算してください(後の計算表の期間B)。
月給・日給・日給月給で、休んだ日の給料がどう変わるかは「月給・日給月給・日給はどう違う?」で整理しています。

※画像はイメージです。
初回給料日までに手持ち資金から払う費用と、給料から引かれる費用を分ける
住み込みの仕事では、寮費や光熱費を給料から差し引く求人があります。差し引かれる費用は、給料日の手取りが減る形で払うので、初回給料日までの手持ち資金からは出ていきません。一方、寮までの移動費や日用品は、初回給料日までに手持ち資金から払います。銀行振込や電子決済で払うものも、ここに含めます。
この2つを混ぜると、天引きされる寮費を手持ち資金から払う費用にも入れてしまい、同じ費用を2回数えることになります。反対に、自分で払う方式の寮費を見落とすと、不足額を小さく見積もります。天引きされる費用は、次の節の計算表で初回給料の手取り見込額に反映します。
費用 | 初回給料日までに手持ち資金から払うか | 確認すること |
|---|---|---|
寮までの移動費(赴任交通費) | 会社が先に出すか、立て替えて後で精算かで変わる | 支給される時期と方法 |
寮費・光熱費・水道代 | 給料から引かれる方式なら払わない(手取りが減る) | 引かれる方式か自分で払う方式か、入寮した月の扱い |
食費 | 食事が出ない日・出ない食事の分を払う | 何食出るか、食事代の負担と払い方 |
作業着・安全靴など | 自己負担なら初日までに払う | 支給・貸与・自己負担のどれか |
日用品・通信費 | 払う | 寮に備え付けのもの |
入寮時の初期費用 | 会社負担でなければ払う | 敷金・入寮金などの有無 |
それぞれの詳しい確認方法は、移動費は「住み込みの赴任交通費は自己負担?」、寮費は「寮費とは?給料から引かれる費用の内訳」、食費は「社員寮の食事は無料?」、装備は「建設現場の作業着・安全靴は自腹?」で扱っています。
手持ちのお金で足りるかを計算する
分けた費用を、2つの期間に分けて表に入れます。期間Aは入寮から初回の給料が入る直前まで、期間Bは初回の給料が入ってから2回目の給料が入る直前までです。初回の手取りで次の給料日まで暮らせるかも確かめるため、期間Bまで計算します。月の後半に入社する場合や、前払いを使う予定がある場合は特に必要です。
期間A:入寮から初回の給料が入る直前まで
項目 | 記入欄 |
|---|---|
① 入社日(入寮日が先ならその日) | 月 日 |
② 初回の給料の振込予定日(会社に確認した日) | 月 日 |
③ 今の手持ち資金 | 円 |
④ 入社前に手持ち資金から払う費用(移動費、装備、初期費用など) | 円 |
⑤ ①から②までに手持ち資金から払う生活費(食費、日用品、通信費など。給料から引かれるものは除く) | 円 |
⑥ ②より前に実際に受け取れると確認できたお金(前払いなど)と受取日 | 円(月 日) |
⑦ 期間A終了時の残高 = ③ + ⑥ − ④ − ⑤ | 円 |
⑦がマイナスなら、その額が初回給料日までの不足額です。⑥には、会社に確認して金額と受け取れる日が分かったものだけを入れます。求人票に「前払いあり」と書かれているだけの段階では、0円で計算してください。
期間Aの計算例(架空の試算条件です。実際の求人の条件や、生活費・必要資金の目安ではありません)
手持ち資金30,000円
寮までの移動費12,000円を自分で立て替え、精算は初回給料日より後
入寮から初回給料日まで30日。寮で出ない食事・飲み物・日用品に1日1,000円、通信費3,000円
前払い制度は未確認
30,000円 + 0円 − 12,000円 −(30,000円 + 3,000円)= −15,000円
この条件では15,000円足りません。移動費の精算が初回給料日より後になるので、立て替えた12,000円は⑥に入れていません。
期間B:初回の給料が入ってから2回目の給料が入る直前まで
項目 | 記入欄 |
|---|---|
⑧ 2回目の給料の振込予定日 | 月 日 |
⑨ 初回給料の手取り見込額(税金・社会保険料・寮費などの天引きと、受け取った前払いを差し引いた後の額) | 円 |
⑩ 期間Bに受け取れると確認できたその他のお金(赴任交通費の精算など)と受取日 | 円(月 日) |
⑪ ②から⑧までに手持ち資金から払う費用 | 円 |
⑫ 期間B終了時の残高 = ⑦ + ⑨ + ⑩ − ⑪ | 円 |
⑨には会社に確認した見込額を入れます。入社月の給料の計算方法や、社会保険料・寮費をどの月の給料から引き始めるかは会社によって違うため、分からないうちは空欄のままにして、自分で仮の数字を入れないでください。⑥に前払いを入れた場合は、その分が初回の給料から差し引かれるので、⑨は前払い分を引いた後の額にします。同じお金を2回数えないためです。
期間Bの計算例(期間Aの例とは別の、架空の試算条件です)
期間A終了時の残高5,000円、会社に確認できた初回給料の手取り見込額60,000円、その他の入金0円、5月20日から6月20日までの31日間に手持ち資金から払う費用34,000円(1日1,000円と通信費3,000円)とすると、5,000円 + 60,000円 + 0円 − 34,000円 = 31,000円で、2回目の給料日まで持つ計算です。
合計がプラスでも、途中で足りなくなることがある
⑦や⑫は期間全体の合計です。合計がプラスでも、入金より先に支払いが来ると、その間はお金が足りなくなります。たとえば前払いが働き始めて何日か後に振り込まれる仕組みなら、寮までの移動費や最初の数日分の食費は、前払いが入る前に手持ち資金だけで払うことになります。
次の手順で確かめてください。
期間A・Bの入金と支払いを、日付の早い順に1列に並べる
手持ち資金から始めて、上から順に入金を足し、支払いを引いていく
途中で一度でもマイナスになる日があれば、その日までに用意が必要な額として扱う

※画像はイメージです。
前払いを使うと、その分だけ給料日の振込が減る
前払い制度で受け取ったお金は、後の給料日に精算されます。初回給料日までをしのぐために前払いを使うと、初回の振込額はその分少なくなり、2回目の給料日までの計算が苦しくなります。⑥に前払いを入れたときは、期間Bの⑨を前払い分を差し引いた額にして、2回目の給料日まで足りるかを確かめてください。上限額・手数料・いつから申請できるかの確認項目は、前払いの記事にまとめています。
会社の前払い制度とは別に、法律で決まっている「非常時払い」があります。労働基準法第25条では、出産、病気、災害など非常の場合の費用にあてるために労働者が請求したとき、会社は支払日の前でも、すでに働いた分の賃金を支払わなければならないとしています。対象は法令で定められた場合に限られ、手持ちのお金が少ないことだけでは当てはまりません。資金計画は、前払い制度の条件や入社日の調整で組み立ててください。
入社前に支払日と費用を照合する
初回と2回目の給与日までの期間について、入金の予定と、先に支払う生活費を日付順に並べます。前払いを使う場合は、受取額と手数料、給与日に差し引かれる額を確認してください。

※画像はイメージです。
足りないと分かったときに確認する順番
不足額が出たら、答えによって不足額が大きく変わる項目から順に、会社へ確認します。
初回の給料日と、その日の振込額の見込み(入社月の計算方法を含む)
赴任交通費を入社前に出してもらえるか、精算はいつか
前払い制度があれば、入社後何日目から、いくらまで、申請から何日で振り込まれるか
寮費・食事代が給料から引かれるか、入寮した月はいくらか
作業着・安全靴などが支給されるか
入社日を動かせるか
確認しても不足額が埋まらない場合は、入社日を遅らせて手持ちを増やす、前払いの条件や赴任交通費の支給時期が合う別の求人に切り替える、のどちらかを考える段階です。住む場所の確保が先に必要な状況なら、公的な相談窓口を含めて整理した「所持金が少ない・住む場所がないときの仕事探し」も参考にしてください。
応募前・入寮前に会社へ聞くこと
そのまま使える形にしました。
締め日と支払日はいつですか。私の入社日だと、最初の給料はいつ振り込まれますか
入社した月の給料は、どの期間の分をどう計算しますか
寮費・光熱費・食事代は給料から引かれますか。入寮した月はいくら引かれますか
赴任交通費はいつ、どのように受け取れますか
前払い制度は入社後いつから使えますか。上限額と手数料を教えてください
作業着や安全靴など、入社前に自分で用意するものはありますか
これらの条件は、労働条件通知書などの書面で確認できますか
賃金の締切日と支払の時期は、原則として書面で示される項目です。口頭の説明だけだった場合は、労働条件通知書など内容が残る形で確認したいと伝えてください。
まとめ
給料日までのお金は、日付と金額を並べれば計算できます。入社日と締め日・支払日から初回の給料日を数え、給料から引かれる費用は手取り見込額の側に回したうえで、手持ち資金から出ていく額と、確認できた入金だけを表に入れてください。初回の手取りで2回目の給料日まで持つかも同じように確かめ、最後に入金と支払いを日付順に並べて、途中でマイナスになる日がないかを見ます。
不足額が数字で分かれば、会社に何を聞くか、入社日をどうするかを決められます。まずは気になる求人の給与欄から、締め日と支払日を書き写すところから始めてください。
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