試用期間中も、働いた分の給料は支払われます。試用期間中も労働契約が成立しており、会社が「お試しの期間だから無給」と扱えるわけではありません。
住み込みの場合は、寮に移ってから最初の給料日まで手元のお金で暮らすことになるため、試用期間中の条件は入社前に確かめておきたい点です。
ただし、金額や手当が本採用後とまったく同じとは限りません。求人票に「同条件」と書かれているのか、「異なる」と書かれているのか、何も書かれていないのかで、確認することが変わります。住み込みの求人では、給料だけでなく、赴任交通費の精算や寮の扱いが試用期間と結びついていることもあります。
この記事では、求人票の試用期間欄の読み方、最低賃金との関係、入社1か月目と試用期間後で並べて確認したい項目、応募前に確認する項目をまとめます。
求人票の試用期間欄は、4つの書き方で読み分ける
ハローワークの求人入力方法では、試用期間がある場合はその期間を入力し、試用期間中の労働条件が試用期間後と異なるときは「異なる」を選んで、その内容をできるだけ詳しく書くよう求めています。この考え方に当てはめると、求人票の書き方は次の4つに分けられます。
書き方 | 読み取れること | 確認すること |
|---|---|---|
期間+「同条件」 | 試用期間中も本採用後と同じ労働条件だと示している | 「同条件」に手当、寮の利用、前払い制度も含まれるか |
期間+「条件が異なる」(内容つき) | 何がどう違うかが書かれている | 給与以外(手当・賞与・寮)にも違いがあるか |
期間だけ | 試用期間があることだけが分かる | 期間中の給与・手当が本採用後と同じか |
空欄・「—」 | 試用期間の有無も読み取れない | 本当に試用期間がないのか、ほかの欄で試用期間に触れていないか |
いちばん注意したいのは、期間だけが書かれている求人と、空欄の求人です。どちらも「条件は変わらない」とは書かれていません。

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試用期間中でも、最低賃金を下回ることは原則できない
最低賃金は、常時、臨時、パートタイマー、アルバイトといった雇用形態に関係なく、事業場で働くすべての労働者に適用されます。厚生労働省の最低賃金制度のよくある質問でも、試用期間中の時間給が最低賃金を下回っているという相談に対して、同じ説明がされています。
例外として、「試の使用期間中の方」は、最低賃金の減額の特例の対象になっています。ただし、使用者が都道府県労働局長の許可を受けることが条件です。「試用期間だから」というだけで、会社の判断で自由に最低賃金より低くできるわけではありません。
最低賃金の減額の特例について許可を受けていないのに、適用される最低賃金を下回って支払われていた場合は、不足分を請求できます。まずは会社と話し、解決しなければ労働基準監督署に相談できます。なお、最低賃金と比べるときは、寮費などを差し引いた後の振込額ではなく、時間当たりの賃金で比べます。比べ方は「寮費とは?」のよくある質問で説明しています。
入社1か月目と試用期間後で、並べて書き出したい6項目
試用期間の条件を確かめるときは、「試用期間中」と「試用期間後」の2列を作り、次の6項目を書き出すと違いが見えやすくなります。
項目 | 試用期間と関係しやすい点 | 求人票で見る場所 |
|---|---|---|
基本給・日給 | 試用期間中だけ金額が違う場合がある | 給与欄、試用期間欄 |
手当 | 一部の手当が試用期間後から付く場合がある | 給与詳細欄、福利厚生欄 |
給料日 | 締め日と支払日によって、最初の給料日が入社から1か月以上先になることがある | 給与詳細欄 |
寮の利用と寮費 | 試用期間中も同じ寮・同じ寮費か | 寮欄、福利厚生欄 |
赴任交通費の精算 | 「試用期間終了後に精算」と書かれている場合がある | 福利厚生欄、寮欄 |
給与前払い | 試用期間中から使えるか | 福利厚生欄、特長欄 |
住み込みで特に影響が大きいのは、下の3つです。赴任交通費が試用期間終了後の精算なら、その間は立て替えたままになります。試用期間終了後に精算する求人で確認することは「住み込みの赴任交通費は自己負担?」で詳しく扱っています。前払い制度が試用期間中から使えるかどうかで、最初の給料日までの手元資金も変わります(「給与前払い」参照)。
社会保険への加入は、試用期間かどうかではなく、契約期間や労働時間などの条件で決まります。加入条件は「住み込み求人の『社保完備』とは?」で整理しています。
基本給が日給や日給月給で書かれている求人では、欠勤した日や休日が多い月に給料の額が変わります。給与形態ごとの計算の違いは「月給・日給月給・日給の違い」で確認できます。

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記載がない条件は個別に確認する
試用期間がある場合は、期間中の基本給・手当・寮費・交通費・前払いの扱いを確認します。「同条件」と書かれていても、どの項目を指すかを聞き、空欄を制度がないという意味に読み替えないようにしましょう。
内定を受ける前・寮へ移る前に聞くこと
「試用期間はありますか。何か月ですか」
「試用期間中の基本給(日給)と手当は、試用期間後と同じですか」
「試用期間中も寮に入れますか。寮費は試用期間後と同じですか」
「赴任交通費の精算は、試用期間が終わってからですか」
「給与の前払いは、試用期間中も使えますか」
「試用期間中の条件は、労働条件通知書に書いてもらえますか」
労働基準法第15条では、会社は労働契約を結ぶときに、賃金や労働時間などの労働条件を明示しなければならないとされています。賃金の決め方や締め日・支払日などは、書面の交付で明示する事項です。本人が希望する場合は、印刷して書面にできる電子メールなどで明示を受けることもできます(ハローワーク「労働法等に関する解説」)。口頭で「試用期間中も同じ」と聞いただけで済ませず、書面で受け取ってから寮へ移る準備を進めてください。
書面で受け取った条件が求人票と違っていたときの確かめ方や相談先は、「求人票と実際の条件が違った場合の確認と相談」で確認できます。

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よくある質問
Q. 試用期間欄が空欄の求人は、試用期間がないということですか?
そうとは限りません。空欄の場合は、試用期間の有無、長さ、その間の条件を会社に確認してください。
Q. 試用期間中は寮に入れないことはありますか?
会社によって扱いが違います。求人票に「即入寮OK」と書かれていても、試用期間中の寮費や部屋の条件まで書かれているとは限りません。入寮の時期と、試用期間中の寮費が試用期間後と同じかを、入社前に確認しておきましょう。
まとめ
試用期間中も給料は支払われます。そのうえで、基本給や手当、寮の条件が試用期間後と同じかを確認してください。
試用期間欄の書き方が、同条件・条件が異なる・期間だけ・空欄のどれかを見る
基本給、手当、給料日、寮、赴任交通費、前払いを「試用期間中」「試用期間後」の2列で書き出す
空いたマスを会社に確認する。給与・勤務時間などは労働条件通知書や雇用契約書で、寮の利用条件や前払い制度は寮規程・制度の案内なども含め、内容が残る形で受け取る
この比較表に、初回給料日までの食費・日用品など自分の生活費を合わせると、入社直後に用意するお金を見積もりやすくなります。

