建設現場でアームを伸ばしたポンプ車を見かけたことがあるかもしれません。コンクリート圧送工は、そのポンプ車などを使い、生コンクリートを打ち込む場所まで送り届ける仕事です。
この記事では、圧送工の作業の流れ、ミキサー車の運転手や型枠大工との違い、未経験者の最初の仕事、運転免許と作業装置の操作の教育の違い、住み込みで働く場合の確認ポイントを整理します。
コンクリート圧送工はどんな仕事か
コンクリート圧送工は、現場に届いた生コンクリートを、ポンプ車などで施工箇所へ圧送(圧力をかけて送り出すこと)し、配っていく仕事です。
現場は、ビル・マンション・住宅の基礎・橋や擁壁などの土木構造物などです。
コンクリートを打ち込む日は、ミキサー車の到着、型枠、打ち込む作業員など、多くの工程が同じ時間に動きます。圧送工はその中で、コンクリートを送る役割を担います。

主な仕事内容と作業の流れ
例として次のような工程があります。実際の順序や役割分担は、会社や現場によって異なります。
出発前の準備:ポンプ車の点検、輸送管やホースなどの積込み
現場での段取り:ポンプ車の設置場所を確認し、車体を安定させる(アウトリガーの張出しなど)
輸送管の配管:ブーム(アーム)を使う場合のほか、輸送管をつないで打込み場所まで配管する場合がある
圧送:ミキサー車から受けた生コンクリートを、ポンプで送る
筒先作業:ホースの先端(筒先)を持ち、コンクリートを打ち込む位置へ配る
洗浄・片付け:作業後、ポンプや輸送管の中に残ったコンクリートを洗い流し、撤収する
圧送中は、輸送管の中でコンクリートが詰まる「閉塞」に注意しながら作業します。ポンプの操作者と筒先側の作業者が合図で連携することも、作業の一部です。
ミキサー車の運転手・型枠大工・鉄筋工との違い
職種 | 中心となる役割 |
|---|---|
コンクリート圧送工 | 現場に届いた生コンクリートを、ポンプ等で施工箇所へ圧送・配分する |
ミキサー車の運転手 | 生コンクリートを工場から現場まで運ぶ |
型枠大工 | コンクリートを流し込む型枠を施工する |
鉄筋工 | コンクリート内部の鉄筋を組み立てる |
未経験者は最初に何をするか
未経験者が最初に担当する作業は会社によって異なります。例えば次のような作業です。
輸送管やホースの運搬・接続の補助
洗浄・片付け
筒先作業の補助
ポンプの作業装置の操作は、必要な教育を受けてから担当します。
面接では「入社後、最初にどの作業を担当するか」「作業装置の操作はいつから担当する予定か」を聞いてください。
資格は必要か
コンクリート圧送工として入職するために、全員があらかじめ取得しなければならない1つの資格があるわけではありません。ただし、求人ごとに応募条件は異なり、担当する作業によっては法令で定められた教育の受講や資格が必要になります。
この仕事で押さえておきたいのは、次の2つを分けて考えることです。
区分 | 内容 |
|---|---|
運転免許 | ポンプ車を自動車として公道で運転するための免許。車両の大きさに応じた免許が必要 |
作業装置の操作の教育 | 現場でコンクリートポンプ車の作業装置を操作する業務に就く場合、事業者が特別教育を行う |
普通免許があれば圧送作業もできる、というわけではありません。反対に、作業装置の教育を受けても、車両の運転には対応する運転免許が必要です。
コンクリート圧送施工技能士:技能の水準を評価する国家検定(技能検定)です。働くための免許ではありません。技能士でなければ圧送工として働けない、ということもありません。

安全面で確認したいこと
コンクリートポンプ車を用いる作業では、輸送管やホースの脱落・振れを防ぐこと、作業装置の操作者と筒先側との連絡方法を確保すること、コンクリート等が吹き出すおそれのある場所への立入りを防ぐことなどが事業者に求められます。求職者として確認したいのは次の点です。
ポンプ車の安定:設置場所の地盤確認や、車体を支える方法
輸送管・ホース:接続部の固定、閉塞時の対応手順。閉塞した輸送管等の接続部を外す場合は、あらかじめ内部の圧力を下げるなど、コンクリート等の吹出しを防ぐ措置が必要です。
合図:操作者と筒先側の連絡方法
洗浄:作業後の洗浄の手順と、周囲の安全確保。洗浄ボールを使用する場合は、飛出しによる危険を防ぐ器具を輸送管等の先端に取り付けます。
輸送管等を組み立てたり解体したりする場合は、作業方法・手順を定めて労働者へ周知し、作業を指揮する者を指名して、その直接の指揮の下で作業を行います。

1日の流れ
出社・ポンプ車の点検、資材の積込み
現場へ移動、段取り
圧送(打設の時間は現場の工程による)
休憩(打設の進み具合によって前後することがある)
洗浄・撤収
帰社、翌日の準備
1日に複数の現場を回るかどうかは、会社や工程によって異なります。
働く前に知っておきたいこと
打設日は時間どおりに進まないことがある:生コンクリートの到着や現場の状況によって、作業時間が変わる場合があります。
天候の影響:雨天時に打設が中止になるかは現場の判断によります。その日の賃金の扱いは、給与形態や就業規則・賃金規定等によって異なります。
契約形態:雇用契約か、請負・業務委託かを確認してください。

住み込みで確認すること
寮から会社(車両基地)までの移動手段と距離
出社時刻と、打設が長引いた日の帰宅手段
作業服・保護具の支給と、汚れた作業服の洗濯場所
入寮までの移動費(詳しくは住み込みの赴任交通費で整理しています)
求人票で確認するポイント
項目 | 見るところ |
|---|---|
担当作業 | 筒先・配管・作業装置の操作・運転のどれか |
運転免許 | 応募時に必要な免許、入社後の取得支援 |
教育・資格支援 | 特別教育・技能検定などの費用負担 |
主な現場 | 建築・土木など |
給与形態・契約 | 日給・月給、打設中止日の扱い、雇用か請負・業務委託か |
寮・通勤 | 寮費、会社までの移動 |
面接で聞いておきたい質問
入社後、最初にどの作業を担当しますか。
作業装置の操作は、いつから、どのような教育を受けて担当しますか。
応募時に必要な運転免許は何ですか。取得費用の支援はありますか。
1日に複数の現場を回ることはありますか。
雨で打設が中止になった日の賃金はどうなりますか。
判断するときのポイント
運転・作業装置の操作・筒先作業の分担を、具体的に説明してもらえるか
免許や教育を受ける時期と費用の見通しがあるか
時間が読みにくい打設日の働き方が、生活と合うか
よくある質問
Q. ミキサー車の運転とは別の仕事ですか?
A. 別の役割です。ミキサー車は生コンクリートを運び、圧送工は現場でそれを送り出します。
Q. 大型免許がないと働けませんか?
A. 必要な運転免許は、担当する車両と役割によって異なります。求人票の応募条件と、入社後の取得支援を確認してください。
Q. 洗浄作業も圧送工の仕事ですか?
A. 作業後のポンプや輸送管の洗浄も、圧送の工程に含まれることがあります。担当範囲は会社に確認してください。
まとめ
応募前に切り分けておきたいのは、「運転」「作業装置の操作」「筒先作業」のうち、どれをいつから担当するかです。
この3点が分かれば、次のことを判断できます。
必要な運転免許と教育
入社直後の仕事の中身
免許取得までの費用と期間の見通し
打設日の働き方が生活と合うか
ここが曖昧なまま入社すると、免許や教育の準備が後手に回りやすくなります。
判断の軸は、役割の分担と、免許・教育の段取りを、会社が具体的に説明できるかどうかです。説明が具体的であれば、入社後の一日を事前に想像しやすくなります。
今日できるのは、求人票で「応募に必要な運転免許」と「取得支援の有無」を確かめることです。
打設の日、送ったコンクリートが建物の形になっていく。その中心で動く仕事です。

