「定修のための期間限定募集」「SDM要員」と書かれた求人を見て、定修とは何か、その期間だけ働くとどうなるのかを知りたい人もいるでしょう。定修(定期修理)とは、プラントの運転を計画的に止めて、運転中にはできない検査・整備・補修をまとめて行う期間のことです。この記事では、定修の意味と関わる職種を短く整理したうえで、定修の期間に働く人が確かめておきたい条件(契約期間、終わったあとの仕事、夜勤と休日、作業がない日の給料、宿泊と移動費)を中心に紹介します。
定修とは:運転を止めている間に、検査と整備をまとめて行う期間
プラントは多くの機器が配管でつながり、連続して動いています。動かしたままでは、塔や槽、熱交換器の内部を開けて点検したり、大きな部品を交換したりできません。そこで日程を決めてプラント全体や一部の系列を止め、その間に検査・整備・補修を集中して行います。これが定修で、「定期修理」「SDM(シャットダウンメンテナンス)」とも呼ばれます。止める範囲、間隔、日数はプラントや設備によって異なります。
停止から工事、試運転・運転再開までの作業の流れは「プラントメンテナンスの仕事内容」で紹介しています。

※画像はイメージです。
定修でプラントを止める理由
運転中は開けられない機器の内部を点検・補修するため
古くなった機器の入れ替えや配管の付け替えなど、運転を止めないとできない工事をまとめて行うため
設備を止めて行う必要のある検査を、この期間に合わせて行うため
法令で定められた検査を、定修の期間に合わせて行うプラントもあります。たとえば高圧ガス保安法では、高圧ガスの製造施設のうち特定施設について、定期に保安検査を受けることが定められています(第35条)。ただし、保安検査と定修は同じものではありません。国の認定を受けた事業者が自ら保安検査を行う仕組みもあり、検査の内容によって、運転を止めて行うものと、運転したまま行うものがあります。
定修に関わる職種と役割
定修では、普段は別々の現場で働く会社や職種が同じ構内に集まり、限られた日数で作業を進めます。主な職種と、定修での役割の例は次のとおりです。担当範囲は会社や現場によって異なります。
職種 | 定修での主な役割の例 | 詳しい記事 |
|---|---|---|
プラントオペレーター | 設備の停止・立ち上げの操作、工事側との作業範囲の確認 | プラントオペレーターの仕事内容 |
プラントメンテナンス・設備保全 | ポンプ・バルブ・熱交換器などの開放点検・整備・部品交換 | プラントメンテナンスの仕事内容/設備保全の仕事内容 |
プラント清掃 | 塔・槽・配管・熱交換器などの洗浄 | プラント清掃の仕事内容 |
プラント配管工 | 配管・バルブの取り外し、交換、復旧 | プラント配管工の仕事内容 |
製缶工・溶接工 | 傷んだ部分の溶接補修、部材の製作 | 製缶工の仕事内容/溶接工の仕事内容 |
足場鳶 | 点検・工事のための足場の組立て・解体 | 足場鳶の仕事内容 |
重量鳶・機械据付工 | 大型機器の搬出入、据付け | 重量鳶の仕事内容/機械据付工の仕事内容 |
保温工 | 点検のための保温材の取り外しと、工事後の復旧 | 保温工の仕事内容 |
プラント施工管理 | 工程・安全・作業員の配置の管理、各職種の調整 | プラント施工管理の仕事内容 |
定修の仕事の契約期間:いつからいつまで働くのか
定修の日程に合わせて、期間を区切って人を募集する求人があります。会社は働き始めるときに、契約期間などの労働条件を書面などで示すことになっています(労働基準法第15条、同法施行規則第5条)。期間を決めた雇用契約(有期契約)では、更新の有無と更新するときの基準に加え、2024年4月からは、更新の上限(通算の契約期間や更新回数の上限)があるかどうかとその内容も示す事項になりました。
定修の工事は、点検の結果で補修する箇所が増えたり、天候で作業が止まったりして、予定より延びることがあります。次の点を確かめておきましょう。
契約期間は定修の期間と同じか、前後の準備や片付けの期間も含むか
工期が延びたとき、契約も延長されるか
工期が短くなったとき、契約期間の途中で仕事が終わることはあるか
定修が終わったあとの仕事はどうなる?
定修の期間だけの契約なら、期間が終われば契約も終わります。一方で、定修の時期はプラントごとに違うため、ひとつの定修が終わると別のプラントの定修現場に移る働き方や、普段は日常保全や別の工事を担当し、定修の時期だけ応援に入る働き方の求人もあります。
同じ「定修の仕事」でも、終わったあとに収入と住まいが続くかどうかは大きく違います。面接では「この定修が終わったあと、次の仕事はありますか。あるなら場所はどこですか」と聞いておくと、生活の見通しを立てやすくなります。
夜勤・交替制と休日
定修では、決められた期間内に作業を終えるため、昼と夜の交替制や夜間の作業を組む現場があります。午後10時から午前5時までの深夜に働いた場合、会社は通常の賃金の25%以上を上乗せした割増賃金を支払うことが法律で定められています(労働基準法第37条)。
定修期間中は、休日の取り方が普段と変わる場合もあります。
夜勤があるか、ある場合は何日続くか
期間中の休日は何日あり、決まった曜日に休めるか
夜勤明けや休日に、宿泊先で休める環境か

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作業がない日の給料はどうなる?
定修では、前の工程の遅れや雨・強風などで、自分の担当作業ができない日が出ることがあります。日給制の求人では、こうした日の扱いが収入に直接関わります。
会社の都合(使用者の責に帰すべき事由)で休業させた場合、会社は平均賃金の60%以上の休業手当を支払うことが法律で定められています(労働基準法第26条)。ただし、天候による作業の中止がこれに当たるかどうかは、事情によって判断が分かれます。考え方は「雨の日の給料」の記事で詳しく扱っています。
求人票や面接では、「作業がない日は休みになりますか、別の作業や待機になりますか。その日の給料はどうなりますか」と確認しておきましょう。
宿泊・食事・移動費
遠方のプラントの定修では、会社が宿泊先を用意する求人があります。期間が短い仕事ほど、宿泊と移動にかかるお金が、手元に残る金額を大きく左右します。
確認すること | 見るところ |
|---|---|
宿泊先 | 会社の寮か、借り上げのアパートか、ホテルか。個室か相部屋か |
宿泊費・食費 | 会社負担か自己負担か。給料から差し引く場合はいくらか |
赴任・帰任の交通費 | 行きと帰りの交通費を誰が負担するか。途中で辞めた場合の扱い |
現場までの移動 | 送迎や乗り合いがあるか、所要時間はどのくらいか |
期間が終わったあと | 宿泊先をいつまでに出るか。次の現場へ移る場合の移動費 |
給料から差し引かれる費用の確かめ方は「住み込みの寮費はいくら?」、赴任時の交通費は「住み込みの赴任交通費」、宿舎から現場までの移動は「寮から現場までの移動」で詳しく扱っています。

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未経験から定修の仕事に入るとき
応募条件は求人ごとに異なります。未経験者を募集する求人では、資材の運搬、部品の洗浄・整理、足場や養生の補助などから始めることがあります。担当する作業によっては、作業前に法令で定められた教育の受講や資格が必要です。主な教育・資格は「プラントメンテナンスの仕事内容」に、構内に入るときの教育は「新規入場者教育」の記事にまとめています。保護具の費用負担は「作業着・安全靴は自己負担?」も参考にしてください。
化学設備や、危険性・有害性の情報(SDS)の通知が必要な物を製造・取り扱う設備などについて、改造など省令で定める作業の仕事を注文する場合、法律で注文者の措置が定められています(労働安全衛生法第31条の2、同法施行令第9条の3)。その仕事をほかから請け負わずに注文している者(最初の注文者)は、扱う物の危険性・有害性、作業で注意すべき事項、講じた安全衛生の措置、流出などの事故が起きたときの応急の措置を書いた文書を作り、作業を始めるときまでに請負人に渡さなければなりません。さらに下請けに出す請負人は、その写しを次の請負人に渡します(労働安全衛生規則第662条の4)。定修の作業がこれに当たるかは、設備と作業の内容によります。作業に入る前に、設備で扱っていた物や注意点の説明をどのように受けられるかを確認しておきましょう。
労働条件の書面で確かめておきたい欄
働き始めるときには、会社が労働条件を示す「労働条件通知書」と、会社と本人が合意した内容を記す「雇用契約書」を受け取ることがあります。2つは本来別の書類で、両方を兼ねた1枚の書面を使う会社もあります。どちらの形でも、定修の仕事ならではの点を次の欄で確かめておきましょう。
書面の欄 | 定修の仕事で見ること |
|---|---|
契約期間 | 定修の期間と合っているか。工期が延びたときの扱い |
更新の基準・更新の上限 | 更新があるか、どんな基準で更新するか。通算期間や更新回数に上限があるか |
就業の場所(変更の範囲) | どのプラントか。期間中や期間後に別の現場へ移る可能性があるか |
従事する業務(変更の範囲) | 清掃・整備・配管・足場・補助のどれか。ほかの作業に変わる可能性があるか |
始業・終業の時刻、休日 | 夜勤・交替制の有無、期間中の休日 |
賃金 | 日給か月給か。深夜・残業の割増、作業がない日の扱い |
そのほかの取り決め | 宿泊費・食費の負担、交通費 |
「変更の範囲」は、2024年4月から、すべての労働契約で示す事項に加わりました。契約の形が雇用なのか、請負・業務委託なのかも確認してください。働き方の扱いや社会保険が変わります。
よくある質問
Q. 定修は何年ごとにありますか?
決まった周期はなく、プラントの種類や設備の状態、法令上の検査の時期などによって変わります。求人を見るときは、定修の時期と期間が書かれているかを確認してください。
Q. 定修とプラントメンテナンスは同じ仕事ですか?
プラントメンテナンスは職種の名前で、定修はプラントを止めて行う工事の期間を指す言葉です。定修にはメンテナンス担当だけでなく、清掃・配管・鳶・保温・施工管理など多くの職種が関わります。
Q. 定修だけの短期の仕事でも、住み込みで働けますか?
宿泊先を用意する定修の求人もあります。勤務期間、宿泊費と食費、定修が終わったあとの退去日、帰りの交通費を事前に確認しておきましょう。確認する項目は「宿泊・食事・移動費」の表にまとめています。
まとめ
定修は、プラントが止まっている限られた期間に、多くの職種が集まって設備を整える仕事です。だからこそ、期間の区切りがはっきりしているかどうかが、働く人の生活を左右します。
応募する前に、契約期間と工期が延びたときの扱い、終わったあとの次の仕事、宿泊と帰りの交通費の3つが分かっているかを見直してください。求人票に書かれていない項目があれば、それが面接で聞くべき質問です。日給の額は、これらを確かめたうえで比べると、実際に手元に残る金額が見えてきます。

