瓦屋根の職人の求人では、「かわらぶき工」「瓦職人」「屋根ふき工」など、いくつかの呼び方が使われています。かわらぶき工は、瓦などを屋根に運び、割付けに合わせて軒先から重ね、1枚ずつ固定していく仕事です。金属の屋根を扱う建築板金工とは、扱う材料と作業が異なります。この記事では、作業工程、葺き替え・補修との違い、資格、高所作業の安全面、住み込みで働く場合の確認点を整理します。
かわらぶき工・屋根ふき工とは
厚生労働省の職業分類では、かわら・スレートなどで屋根をふく仕事と、金属の薄板で屋根をふく仕事が分けられています。かわらぶき工は前者にあたり、瓦を中心とした屋根材を扱います。
仕事には、大きく分けて次の2つがあります。
仕事の種類 | 内容 |
|---|---|
新築 | 新しい建物の屋根に瓦をふく |
葺き替え・補修 | 既存の瓦を外して新しくふき直す、割れた瓦を差し替える、棟を積み直す |
会社によって、新築中心か、葺き替え・補修中心かが異なります。

かわらぶき工の仕事内容・作業の流れ
例として次のような工程があります。実際の順序や役割分担は、会社や現場によって異なります。

新築の場合
屋根の下地(野地板や防水用の下葺材)の状態を確認する
屋根の形や仕様に合わせて使う瓦を確認し、屋根の上へ運ぶ
屋根の寸法を測り、軒先から棟まで瓦をどう並べるかを割り付ける
割付けに合わせて、瓦を引っかけるための桟木を取り付ける
軒先の瓦を並べる
軒先から上へ向かって、瓦を重ねながらふいていく
屋根の端や谷の部分は、形に合わせて瓦を切断・調整する
屋根の頂上部分(棟)を施工する
固定の状態を確認し、屋根の上と周囲を清掃する
割付けと固定が仕事の中心
瓦は大きさが決まっているため、屋根の寸法に合わせて1列ごとの並びを先に計算します。この割付けがずれると、端で瓦が合わなくなります。
瓦は、釘やビスなどで下地に固定します。瓦屋根の固定方法については国の告示が改正され、2022年1月1日の施行後は、瓦屋根の緊結箇所が軒・けらば・むねの一部から、平部を含むすべての瓦へ拡大されました。緊結方法は、瓦の種類や部位、基準風速などに応じて定められています。強風や地震への備えとして、固定の作業には決められた方法を守ることが求められます。
葺き替え・補修の場合
既存の瓦を外し、傷みがないか確認する
必要に応じて、下地を補修する
新しい瓦をふく、または割れた瓦を差し替える
棟の積み直しなど、傷んだ部分を直す
古い屋根では、下地の傷みの程度によって作業内容が変わります。
似た職種との違い
職種 | 主に扱うもの | かわらぶき工との関係 |
|---|---|---|
かわらぶき工 | 瓦などによる屋根ふき | - |
建築板金工 | 金属の薄板による屋根・外壁 | 屋根の仕事という点は共通。材料と加工方法が異なる |
防水工 | 平らな屋根(陸屋根)などの防水 | 勾配のある瓦屋根とは、扱う屋根と工法が異なる |
建築大工 | 建物の骨組み、屋根の下地 | 野地板などの屋根下地を大工が施工する場合がある |
金属屋根の仕事は「建築板金工の仕事内容」、防水は「防水工の仕事内容」で扱っています。
未経験者が最初に担当する仕事
瓦や材料を屋根の上へ運ぶ作業の補助
屋根の上で瓦を渡す作業
桟木の取付けの補助
古い瓦を外す作業の補助(葺き替えの場合)
片付け、清掃
最初は屋根の上での移動や、瓦の扱い方に慣れることから始まります。割付けや切断の作業をいつ頃から任されるかは、会社に確認してください。
資格・教育
かわらぶき工として入職するために、全員があらかじめ取得しなければならない1つの資格があるわけではありません。ただし、求人ごとに応募条件は異なり、担当する作業によっては法令で定められた教育の受講や資格が必要になります。
技能検定「かわらぶき」
厚生労働省の技能検定には「かわらぶき」(かわらぶき作業)があり、合格すると「かわらぶき技能士」を名乗れます。技能検定は技能の水準を評価する国家検定で、働き始めるための免許ではありません。受検資格は、等級のほか、実務経験、学歴、職業訓練歴などによって異なります。
作業によって必要になる教育
作業 | 必要になるもの |
|---|---|
高さ2m以上で作業床の設置が困難な場所で、フルハーネス型墜落制止用器具を使用する作業(ロープ高所作業を除く) | フルハーネス特別教育 |
足場の組立て・解体・変更の作業(地上または堅固な床上での補助作業を除く) | 足場特別教育 |
研削といしの取替え、または取替え時の試運転 | 特別教育 |
新たに職長等の職務に就く場合 | 事業者が行う職長教育 |
屋根で作業するすべての人が、フルハーネス特別教育の対象になるわけではありません。瓦の切断に工具を使うこと自体も、研削といしの特別教育の対象ではありません。自分の担当作業に必要な教育を、会社で受けられるか確認してください。

高所作業の安全面
屋根の上は、地面から離れた勾配のある場所です。次の点を知っておいてください。
墜落防止:高さ2m以上で墜落のおそれがある場合、事業者は場所の状況に応じて、作業床の設置や、端・開口部への囲い・手すり・覆い等の措置を行います。屋根の端に足場や手すりを設けるなど、現場ごとの対策を確認します。
踏み抜き:スレートなどで葺かれた屋根で踏み抜きのおそれがある場合、事業者は歩み板を設けるなどの措置を行います。
天候:雨・強風・屋根の濡れは、足元の状態に関わります。作業を中止する判断を誰がどう行うかを確認しておきます。
荷揚げ:瓦を屋根へ上げるときに機械を使う現場があります。操作する人に必要な教育は、会社に確認してください。
暑さ:屋根の上の作業が法令上「熱中症を生ずるおそれのある作業」に該当する場合、事業者は症状を報告する体制を整え、作業からの離脱・身体の冷却・必要に応じた医師の診察等の手順を定めて周知します。
古い屋根材:葺き替えなどで既存の屋根材を撤去する場合、事業者が工事前に石綿の有無を調査します。古いスレート屋根材には、石綿を含むものがあります。

住み込みで確認すること
新築中心か葺き替え・補修中心かによる、現場の場所と移動方法
雨・強風で作業が中止になった日の過ごし方と給与
安全帯(墜落制止用器具)や安全靴などの支給範囲
寮費、食事、入寮時の費用、赴任時の移動費
入社時の移動費は「住み込みの赴任交通費」で扱っています。
求人票で確認するポイント
項目 | 見るところ | 確認したい理由 |
|---|---|---|
仕事内容 | 新築・葺き替え・補修のどれが中心か | 作業内容と現場の種類が変わるため |
扱う屋根材 | 瓦のみか、スレートや金属屋根も扱うか | 覚える技術の範囲が分かるため |
安全対策 | 墜落制止用器具の支給、教育の受講 | 屋根上の作業に直接関わるため |
契約形態 | 雇用契約か、請負・業務委託か | 社会保険や給与の扱いが変わるため |
給与形態 | 日給・月給、雨天時・休工日の扱い | 休工日の賃金は、給与形態や就業規則・賃金規定等によって異なるため |
資格取得支援 | 技能検定の受検支援の有無 | 経験を積んだ後の目標を立てやすくするため |
寮 | 寮費、個室かどうか、現場までの距離 | 毎月の出費と生活リズムに関わるため |
面接で聞いておきたい質問
主な仕事は、新築ですか。葺き替えや補修ですか。
入社後しばらくは、屋根の上と地上のどちらで作業することが多いですか。
屋根の上での墜落防止の対策は、現場でどのように行っていますか。
フルハーネス特別教育などの教育は、会社で受けられますか。費用は誰が負担しますか。
雨や強風で作業が中止になった日の給与は、どのような扱いになりますか。
雇用契約ですか。請負・業務委託ですか。
判断するときのポイント
屋根の上での作業に不安がある場合、最初の担当と慣れ方が説明されるか
墜落防止の対策を、現場の具体例で説明してもらえるか
天候で作業が止まる日の給与の扱いが、生活の計画と合うか
よくある質問
Q. 高いところが苦手でも働けますか?
屋根の上での作業が仕事の中心になります。苦手な場合は、最初にどこで何を担当するかと、墜落防止の対策を具体的に聞いてから判断してください。
Q. 瓦職人とかわらぶき工は同じ仕事ですか?
求人では同じ意味で使われる場合があります。ただし、瓦を製造する仕事を「瓦職人」と呼ぶこともあるため、仕事内容の欄で「屋根ふき」「施工」と書かれているかを確認してください。
Q. 建築板金の会社と、瓦の会社のどちらを選べばよいですか?
扱いたい材料で選ぶ方法があります。瓦を積み重ねて固定する技術を身につけたいか、金属板を加工する技術を身につけたいかで考えてみてください。
まとめ
応募前に確認したいのは、次の3点です。
新築・葺き替え・補修のどれが中心の会社か
屋根の上での墜落防止の対策と、教育の受け方
雨や強風で作業が止まった日の給与の扱い
この3点が分かれば、仕事の中身、安全面の備え、収入の見通しを判断しやすくなります。天候による休みの扱いが曖昧なままだと、住み込みでの生活費の計画が立てにくくなります。
判断の軸は、屋根の上で安心して技術を覚えられる環境かどうかです。安全対策の説明が具体的な会社なら、入社後の働き方を想像しやすくなります。
今日できるのは、気になる求人の仕事内容から「新築」「葺き替え」「補修」のどれが書かれているかを確かめ、安全対策について面接で聞く質問を1つ用意することです。
瓦を1枚ずつ重ねて屋根が形になるように、その技術も現場で少しずつ身についていきます。

