「道路工事」と聞くと、アスファルトを敷く場面を思い浮かべる人もいるでしょう。実際の道路工事は、土を掘って締め固める工事、雨水を流す側溝や管をつくる工事、舗装、防護柵や標識・区画線の設置など、複数の工事の組み合わせで進みます。そのため、どの会社・どの職種で働くかによって、担当する作業は変わります。この記事では、道路ができるまでの流れ、路床・路盤・舗装の違い、道路工事に関わる職種、夜間工事になる理由、求人を見るときの確認点を整理します。
道路はアスファルトを敷くだけではできない
国土交通省の土木工事共通仕様書では、道路編が複数の章に分かれています。「道路改良」の章には地盤改良工・法面工・擁壁工・カルバート工・排水構造物工(小型水路工)など、「舗装」の章には舗装工・排水構造物工(路面排水工)・縁石工・防護柵工・標識工・区画線工・道路植栽工・道路付属施設工などが並び、ほかにも電線共同溝、道路維持、道路修繕などの章があります。
道路工事は、こうした工種の組み合わせです。求人の「道路工事」が、このうちどの部分を指しているのかによって、仕事の中身は大きく変わります。
新しい道路ができるまでの流れ
例として次のような工程があります。実際の順序や役割分担は、会社や現場によって異なります。
測量・丁張り:道路の中心線や高さの基準を、現地に杭や板で示す

土工:掘削や盛土で道路の形をつくり、路床を整える

排水・構造物:側溝や管、擁壁などをつくる
路盤:路床の上に砕石などの層をつくり、締め固める

舗装:アスファルト混合物やコンクリートで、基層・表層をつくる

付属物:縁石、防護柵、標識、区画線などを設置する
検査・引渡し:仕上がりを確認し、発注者に引き渡す
土工については、共通仕様書の道路土工の節に、掘削工・路体盛土工・路床盛土工・法面整形工・残土処理工が定められています。既存の道路を広げる工事や補修工事では、この流れの一部だけを行う場合もあります。
路床・路盤・舗装は何が違う?
道路の断面は、いくつもの層でできています。
層 | どんな部分か | 主に関わる作業の例 |
|---|---|---|
路床 | 舗装を下から支える地盤の部分。原地盤を改良してつくる場合もある | 掘削・盛土、締固め |
路盤 | 路床の上に砕石などでつくる層。上の層からの力を受け止めて路床に伝える | 材料の敷きならし、締固め |
基層・表層 | アスファルト混合物などでつくる上の層。表層は車が直接走る面 | 合材の敷きならし、締固め |
日本道路協会の資料では、路床は舗装の構造計算に用いる原地盤の層で、原地盤を改良したものを構築路床と説明しています。層の構成や厚さは、道路の種類や交通量をもとに設計で決まり、工事は設計図書・施工計画・現場の手順に従って進めます。
道路工事で働く人と、それぞれの担当
担当 | 主な仕事 | 詳しい記事 |
|---|---|---|
測量 | 基準点の設置、丁張り、仕上がりの寸法の測量 | 測量助手の仕事内容 |
土木作業員 | 掘削・盛土の手作業、側溝や管のまわりの作業、各作業の補助 | 土木作業員の仕事内容/建設現場の手元作業とは |
重機オペレーター | バックホウなどでの掘削・積込み | 重機オペレーターの仕事内容 |
舗装工 | 舗装、道路付帯設備の取付け、区画線の設置 | 舗装工の仕事内容 |
法面工 | 切土・盛土でできた斜面の保護 | 法面工の仕事内容 |
交通誘導の警備員 | 工事区間での車両・歩行者の誘導 | — |
土木施工管理 | 計画と、工程・品質・安全の管理 | 土木施工管理の仕事内容 |
job tagでは、舗装工の仕事は、アスファルト舗装、コンクリート舗装、道路付帯設備の取付作業、道路区画線の設置作業に分けられると紹介されています。1社がすべての工程を担当するとは限らず、土木会社・舗装会社・警備会社などが分かれて入る現場もあります。
道路工事は新しく造るだけではない
共通仕様書の「道路維持」の章には、巡視・巡回工、舗装工、排水構造物工、道路清掃工、植栽維持工、除草工、冬期対策施設工、応急処理工などが並んでいます。道路の補修や維持を中心にする会社では、穴のあいた舗装の補修や側溝の清掃などが仕事の中心になる場合があります。新しい道路を造る工事か、今ある道路を直す工事かで、現場の移動の頻度も変わります。
夜に道路工事をするのはなぜ?
道路上で工事や作業を行う場合は、道路交通法に基づく道路使用許可が関係します。また、道路に工作物・物件・施設等を設けて継続的に道路を使用する場合は、道路法に基づく道路占用許可が必要になることがあります。道路工事の内容によって必要な手続は異なります。道路使用許可は警察署長が行い、静岡県の資料では、道路工事に伴う道路使用許可では、交通誘導員の配置など必要な条件を付しており、その判断では道路形状や交通量、工事内容、工事時間帯や昼夜の別などを総合的に考慮していると説明しています。道路占用の例としては、道路の地下に電気・電話・ガス・上下水道などを埋設する場合があり、道路管理者の許可を受ける必要があるとされています。
交通量の多い道路では、通行への影響を小さくするために、交通の少ない時間帯に工事をすることがあります。job tagでも、都市部の交通量の多い道路や鉄道などの工事では、深夜に工事を行うため夜間の勤務となることが多いと紹介されています(土木施工管理技術者の説明)。
ただし、道路工事がすべて夜間に行われるわけではありません。昼間に行う工事もあり、どちらになるかは工事ごとに決まります。
車が走る横で働く——道路工事ならではの安全
道路工事の現場は、通行する車両や歩行者と隣り合わせになることがあります。
交通誘導:警備業の規則では、高速自動車国道や自動車専用道路での交通誘導警備業務、また都道府県公安委員会が道路における危険を防止するため必要と認める交通誘導警備業務では、1級または2級の検定合格警備員を業務を行う場所ごとに1人以上配置することになっています。
重機や工事車両:危険箇所への立入禁止または誘導員による誘導、合図の統一が定められています。
掘削:側溝や管を埋める工事で掘削する場合、掘削面の高さが2m以上となる地山の掘削作業では、事業者が技能講習修了者の中から作業主任者を選任します。
暑さ:法令上「熱中症を生ずるおそれのある作業」に該当する場合、事業者は症状を報告する体制を整え、作業からの離脱・身体の冷却・必要に応じた医師の診察等の手順を定めて周知します(2025年6月1日施行)。
騒音:厚生労働省「騒音障害防止のためのガイドライン」(2023年改訂)で、事業者が取り組む対策が示されています。
道路工事で関係する資格は、使う機械と担当する作業で決まる
道路工事の現場で働き始めるために、全員があらかじめ取得しなければならない1つの資格があるわけではありません。ただし、求人ごとに応募条件は異なり、担当する作業によっては法令で定められた教育の受講や資格が必要になります。
担当する作業 | 関係する教育・資格 |
|---|---|
整地・運搬・積込み用及び掘削用の車両系建設機械(バックホウなど)の運転 | 機体重量3t以上は技能講習、3t未満は特別教育 |
締固め用機械(ローラー)の運転 | ローラーの運転業務(道路上の走行を除く)は特別教育 |
移動式クレーンの運転(つり上げ荷重1t未満) | 特別教育 |
移動式クレーンの運転(つり上げ荷重1t以上5t未満) | 小型移動式クレーン運転技能講習 |
移動式クレーンの運転(つり上げ荷重5t以上) | 移動式クレーン運転士免許 |
玉掛け | つり上げ荷重1t以上は技能講習、1t未満は特別教育 |
掘削面の高さが2m以上となる地山の掘削 | 事業者が、技能講習修了者の中から作業主任者を選任 |
交通誘導 | 警備員として従事。一定の道路では検定合格警備員の配置が必要 |
締固め用機械については、労働局の資料で車両系建設機械(締固め用)の運転者は特別教育修了者と整理されています。いずれの機械の資格も、公道を走行するための自動車運転免許とは別です。
道路工事の求人を見るときのポイント
未経験で入る場合は、資材の準備や片付け、職人の作業の補助から関わることがあります。どの作業から任されるかは、会社や工事によって異なります。
項目 | 見るところ | 確認したい理由 |
|---|---|---|
工事の種類 | 新設・拡幅か、維持・補修か、舗装が中心か | 作業の中身と、現場の移動の頻度が変わる |
担当 | 土工・舗装・交通誘導・管理のどれか | 必要な教育や資格が変わる |
勤務時間帯 | 昼間のみか、夜間工事があるか | 生活リズムと手当に関わる。夜勤手当・深夜の割増の扱いを確認 |
雨天時 | 作業が中止になった日の扱い | 休工日の賃金は、給与形態や就業規則・賃金規定等によって異なる |
現場への移動 | 集合場所、社用車での移動の有無 | 移動時間の扱いが変わる |
宿舎 | 寮の有無、部屋が個室か | 夜間工事がある場合は、昼間に眠れる環境かどうかが大切になる |
夜間工事がある求人では、面接で「夜間工事は月にどのくらいありますか」「夜勤明けの翌日の勤務はどうなりますか」と聞いておくと、生活の予定を立てやすくなります。寮の部屋については「個室寮・寮設備」、寮から現場への移動については「寮から現場までの通勤」の記事も参考にしてください。
よくある質問
Q. 道路工事と舗装工は同じ仕事ですか?
舗装工は、道路工事の中の舗装や区画線、道路付帯設備の取付けなどを担当する職種です。道路工事には、舗装のほかに土工や排水構造物、防護柵なども含まれます。舗装の作業手順は「舗装工の仕事内容」で説明しています。
Q. 交通誘導をしている人は、工事会社の社員ですか?
警備会社の警備員が交通誘導を担当する場合があります。応募する求人の職種が工事の作業員なのか、警備員なのかを求人票で確認してください。
Q. 水道管やガス管の工事も道路工事に入りますか?
道路の地下に管を埋める工事は、道路占用の許可を受けて行います。道路で行う工事ですが、担当するのは水道・ガスなどの配管工事の会社の場合もあります。求人ごとに工事の中身を確認してください。
まとめ
道路工事は、毎日だれかが通る道を、層を重ねて形にしていく仕事です。その中身は、土工・排水・舗装・付属物・交通誘導など、いくつもの工事の組み合わせです。「道路工事」という言葉だけで応募すると、思っていたのと違う工程を担当することになっても、事前に気づきにくくなります。応募する前に、次の2点だけは確認しておきましょう。
どの工種か:土工、舗装、側溝・排水、防護柵・標識、交通誘導のどれを担当するのか。工種が分かれば、毎日の作業と、必要になる教育や資格が見えてきます。新設の工事か維持・補修の工事かによって、現場が固定か日ごとに移動するかも変わります。
昼施工か夜間施工か:昼間だけの工事か、夜間工事があるのか。夜間工事がある場合は、生活リズムに加えて、寮で昼間に眠れる環境かどうかも一緒に確かめます。
求人票からこの2点が読み取れないときは、仕事内容の欄から「舗装」「側溝」「防護柵」などの工種の名前を拾い出し、分からない工種と勤務時間帯を面接で聞いてみてください。

