「ボード工の求人を見たけれど、軽天工と何が違うのか分からない」という人に向けた記事です。ボード工は、軽天工や大工が組み上げた下地に、石こうボードなどの板を張って、壁と天井の面をつくる仕事です。下地を組むのが軽天工、その上に面をつくるのがボード工、と考えると分かりやすいでしょう。ただし、会社によっては両方を同じ職人が担当します。この記事では、軽天工からの引継ぎ、ボードの種類、隙間や段差を抑えて張る理由、作業の流れ、資格を解説します。
ボード工は、組み上がった下地に板を張り、壁と天井の面をつくる仕事
厚生労働省の職業情報提供サイト「job tag」では、内装工の専門領域の一つとして「ボード張り工」が紹介されています。鋼製下地組立工が組み立てた鋼製下地や、大工がつくった木製下地に、合板、繊維板、石こうボードなどを張る仕事です。
完成した部屋で目にする壁紙や塗装は、ボードの上に施工されます。つまりボード工は、仕上げのための「平らで正確な面」を用意する役割を担っています。
軽天工からボード工へ現場はどう引き継がれる?
建物の内装は、いくつもの職種が順番に手を入れて完成します。壁や天井の場合、例えば次のような順で進みます。
順番 | 担当の例 | 作業 |
|---|---|---|
1 | 墨出し | 床や天井に、壁や天井の位置の基準となる線を出す |
2 | 軽天工(または大工) | 軽量鉄骨や木材で下地を組む |
3 | 電気・設備の職種 | 壁や天井の中を通る配線・配管、断熱材などを施工する |
4 | ボード工 | 下地にボードを張る |
5 | 仕上げの職種 | 継ぎ目の処理、壁紙張り、塗装などを行う |
壁の片面にボードを張ってから中の配線・配管を行い、その後にもう片面を張るなど、実際の順番は現場で調整されます。
ボード工は、張り始める前に下地を点検します。下地の曲がりや固定の不足があれば、そのまま張ると仕上がりに影響するためです。厚生労働省の作業区分の資料でも、ボード仕上げ工事作業の範囲として、取付け下地の点検及び補修が挙げられています。
下地を組む仕事については「軽天工の仕事内容」で解説しています。求人票に「軽天・ボード」と書かれている場合は、両方を担当する可能性があります。
石こうボードはなぜ隙間・段差を抑えて張る必要がある?
ボードの継ぎ目にすき間や段差があると、次のような影響が出ます。
仕上がりの見た目:壁紙や塗装の下に段差があると、表面に線や凹凸が浮き出ることがある
継ぎ目処理の手間:段差が大きいほど、パテで平らにする作業が増える
性能への影響:防火や遮音などの性能が求められる壁では、ボードの種類、枚数、張り方が設計図書や仕様で指定されていることがあり、指定どおりに施工する必要がある
ボード工の仕事の正確さは、次に作業する仕上げの職種の仕事にも直結します。「張れれば終わり」ではなく、「次の人が仕上げやすい面を渡す」ことが目標です。
石こうボードの種類を知っておく
石こうボードは、日本産業規格(JIS A 6901)で種類が定められています。主なものは次のとおりです。
種類 | 特徴 | 主な用途(JISの参考) |
|---|---|---|
せっこうボード | 標準的なもの | 壁・天井の下地材 |
シージングせっこうボード | 原紙と芯に防水処理を施したもの | 屋内の台所・洗面所などの壁・天井の下地材 |
強化せっこうボード | 芯に無機質繊維などを混入したもの | 壁・天井の下地材、防・耐火構造などの構成材 |
普通硬質せっこうボード | 衝撃に強く、曲げに強いもの | 間仕切・通路・廊下などの壁の下地材 |
化粧せっこうボード | 表面に化粧を施したもの | 壁・天井の仕上げ材 |
どのボードをどこに使うかは、図面や仕様で決められています。見た目が似ていても性能が違うため、ボードの表示を確認して、指定のものを指定の場所に使うことが大切です。
作業の流れ
例として次のような工程があります。実際の順序や役割分担は、会社や現場によって異なります。
図面・仕様の確認(使うボードの種類、張る範囲、開口の位置)
下地の点検と、必要に応じた補修
割付け(ボードの継ぎ目がどこに来るかを決める)と墨出し
採寸とボードの切断

コンセント、照明、点検口などの開口部の加工
ボードを作業場所まで運ぶ

天井へのボード張り

壁へのボード張り
ビスの留め忘れや浮き、継ぎ目の段差がないかの確認

天井を先に張るか、壁を先に張るかは、仕様や現場の段取りで決まります。
パテ処理は誰が担当する?
ボードの継ぎ目やビスの頭をパテで平らにする作業(継ぎ目処理)を、ボード工が行う会社もあれば、別の職種や別の工程として分けている会社もあります。
ボード張りだけを担当する
ボード張りと継ぎ目処理まで担当する
軽天からボード、継ぎ目処理までをまとめて担当する
どこまで担当するかによって、覚える作業が変わります。求人票と面接で確認しましょう。
未経験者が最初に担当する作業
担当範囲は会社や現場によって異なりますが、未経験者は次のような作業から始めることがあります。
ボードの荷揚げと、作業場所への運搬
床や周囲の養生
端材の片付けと分別
採寸の補助、切断したボードを手渡す
先輩が張ったボードを支える、ビスを留める練習
ボードは角が欠けやすく、運び方や置き方で傷がつくことがあります。材料を傷めずに扱えることが、最初に身につけたい基本です。
資格・教育
ボード工として入職するために、全員があらかじめ取得しなければならない1つの資格があるわけではありません。ただし、求人ごとに応募条件は異なり、担当する作業によっては法令で定められた教育の受講や資格が必要になります。
資格・教育 | 内容 |
|---|---|
技能検定「内装仕上げ施工」―ボード仕上げ工事作業 | 技能の水準を評価する国家検定(技能検定)。働き始めるための免許ではない。合格者は内装仕上げ施工技能士となる |
携帯用丸のこ盤 | 建設業等で携帯用丸のこ盤を使用する作業従事者を対象とした、厚生労働省の通達に基づく「特別教育に準じた教育」 |
足場特別教育 | 足場の組立て・解体・変更の作業に係る業務(地上または堅固な床上での補助作業を除く) |
高所作業車の運転(作業床の高さ10m未満) | 特別教育 |
高所作業車の運転(作業床の高さ10m以上) | 技能講習 |
技能検定は、あくまで技能の水準を評価するものです。「ボード技能士」という独立した資格があるわけではなく、「内装仕上げ施工」という職種の中の「ボード仕上げ工事作業」として実施されています。
安全面で気をつけること
墜落・転落:天井張りでは脚立や作業台を使うため、足元の安定を確認する。高さ2m以上で墜落のおそれがある場合、場所の状況に応じて作業床の設置や、端・開口部への囲い・手すり・覆い等の措置
切断工具:丸のこを使う場合は、教育を受け、刃の周りに手を近づけない
粉じん:ボードの切断や研磨で粉が出る場合は、どのような対策をしているかを確認する
運搬:ボードを運ぶときは、無理な姿勢で持たず、台車などを使う
改修工事:既存の天井や壁を撤去する改修工事では、事業者が工事前に石綿の有無を調査する(石綿則3条)
住み込み・寮で働く場合に確認すること
内装の現場は、建物の工程に合わせて入る時期が決まります。住み込み・寮付きで働く場合は、次の点を確認しておきましょう。
寮から現場までの移動手段と、現場が変わったときの扱い
インパクトドライバーなどの工具が支給か、自分で用意するか
仕事がない日の賃金(給与形態や就業規則・賃金規定等によって異なる)
寮費・食費と、給与からの差し引き方
求人票で確認するポイント
項目 | 見るところ | 確認したい理由 |
|---|---|---|
担当範囲 | ボードのみか、軽天・継ぎ目処理まで含むか | 覚える作業が変わるため |
現場の種類 | 新築か改修か、住宅か店舗・オフィスか | 使う材料や作業の進め方が変わるため |
工具 | 支給か、自分で用意するか | 最初にかかる費用を見積もるため |
給与形態 | 日給か月給か、出来高があるか | 月ごとの収入の見通しを立てるため |
契約形態 | 雇用契約か、請負・業務委託か | 社会保険や休業時の扱いが変わるため |
資格支援 | 技能検定の受検支援 | 将来の目標を立てるため |
面接で聞いておきたい質問
「ボード張りだけを担当しますか。軽天や継ぎ目処理も担当しますか」
「新築と改修、どちらの現場が中心ですか」
「工具は会社から支給されますか」
「丸のこの教育など、入社後に受ける教育はありますか」
「寮から現場までは、どのように移動しますか」
よくある質問
Q. 軽天工とボード工は、どちらを先に覚えるものですか?
会社によって異なります。ボード張りだけを担当する会社もあれば、軽天とボードの両方を担当する会社もあります。将来どちらも覚えたい場合は、両方を経験できるかを面接で聞いてみましょう。
Q. 天井のボード張りは一人でできますか?
天井は頭上で板を支えながら留めるため、複数人で作業したり、ボードを持ち上げる機械を使ったりする場合があります。やり方は現場によって異なります。
Q. 内装仕上げ施工技能士の資格がないと働けませんか?
内装仕上げ施工技能士は、ボード工として働き始めるための法令上の必須免許ではありません。ただし、求人ごとの応募条件は異なります。
まとめ
ボード工の求人を見比べるときに一番はっきりさせたいのは、「ボードを張るところから、どこまでを担当するのか」です。
担当範囲が分かれば、
軽天の下地づくりも覚えるのか
継ぎ目のパテ処理まで任されるのか
新築・改修のどちらの現場に入るのか
どんな工具をそろえる必要があるのか
を具体的に比べられます。範囲が分からないまま入ると、覚えることの量や、最初にかかる費用を見誤ることがあります。
会社を選ぶ基準は、担当範囲と工具の負担が、今の自分に無理のない形になっているかです。一つの作業を確実に身につけてから範囲を広げる道もあります。
求人票の仕事内容欄に「軽天」「ボード」「パテ」のどれが書かれているかを、まずは確認してみてください。何もなかった空間に壁と天井ができあがり、部屋の形が見えてくる現場で、仕事の手応えを積み重ねていけます。

