設備保全の仕事内容とは?事後保全・予防保全・予知保全と点検・修理を解説

編集部

設備保全と聞くと、「機械が壊れたときに呼ばれて直す人」を想像するかもしれません。故障の修理も大事な仕事ですが、それは一部です。設備保全の中心は、故障や劣化を防ぎ、設備が正常に動き続ける状態を保つことにあります。

この記事では、保全の種類、仕事の中身、点検で見る異常のサイン、プラントオペレーターとの違い、担当設備ごとの資格の考え方を順に整理し、応募前に求人票で確認したい点までまとめます。

設備保全は「壊れたら直す」だけの仕事ではない

厚生労働省の技能検定の紹介では、機械保全は工場の設備機械の故障や劣化を予防し、正常な運転を維持するための仕事で、さまざまな製造現場に共通する作業と説明されています。

日本プラントメンテナンス協会も、設備管理は、壊れたら直す「事後保全」から、壊れる前に手を打つ「予防保全」へ、さらに全員参加で生産現場を良くするTPMへと進んできたと紹介しています。同協会は、保全を補修や修理にとどまらず、設計・施工から運転、検査・整備、廃棄までの各段階で設備に期待される機能を保つ役割ととらえています。

保全の種類:故障の前か後かで仕事が変わる

保全の種類

いつ手を打つか

仕事の例

事後保全

故障が起きた後

止まった機械の原因を調べて修理し、動く状態に戻す

予防保全

故障が起きる前(計画的に)

点検・部品交換・給油を計画を立てて行う

予知保全

故障の兆しが見えた段階

稼働状況のデータから故障の時期を予測して手を打つ

job tagの「物流設備管理・保全」では、故障のたびに修理する事後保全と、点検・修理・部品交換を計画的に行う予防保全が紹介され、データを使って故障を予知する「予知保全」の取り組みにも触れられています。

どの保全をどの設備に使うかは、職場の方針で決まります。求人票に「予防保全中心」「突発対応あり」などと書かれている場合は、1日の仕事の組み立て方に直結します。

仕事の中身を5つに分けると

job tagの「物流設備管理・保全」は、物流倉庫の設備を対象にした職業紹介です。ただし職業別名には、機械保全工、工場設備保全員、プラント保全工も挙がっています。ここでは、この紹介にある5つの区分を借りて仕事の中身を整理します。

  1. 定期的な保全:設備を良い状態に保ち、長く使えるよう、計画を立てて定期的に行う

回転機械へグリースを注入して保全する作業員
  1. 受入検査:機械・器具・部品を受け入れるときに、基準に合っているかを検査する

  2. 故障箇所の修復:故障の原因を分析し、同じ故障が繰り返されないよう対策を講じる

機械設備を分解して部品を点検する設備保全作業
  1. 機具・部品・用材の管理:交換部品や工具を保管・手入れし、在庫を切らさない

  2. 据付・組立・調整:設備を新設・増設・更新するときに行う。job tagでは、実際の作業は納入業者やメンテナンス会社に依頼し、確認を担う場合もあると紹介されている

3番目の「同じ故障を繰り返さない対策」は、直して終わりにしない設備保全ならではの仕事です。

異常のサインを見つける:点検で見るところ

厚生労働省が示す機械保全技能検定(2級)の試験科目には、機械の主要な部品に生じる損傷・異常現象として、焼付き、異常摩耗、破損、過熱、発煙、異臭、異常振動、異音、漏れ、亀裂、腐食、つまりが挙げられ、その種類・原因・兆候を見つける方法の知識が求められています。

点検では、こうしたサインを目視や音、におい、計器などで確認します。

測定器でモーターの状態を確認する設備保全担当者

見る・聞くところ

サインの例

音

いつもと違う音、異音

振動

揺れの大きさの変化(計器での測定を含む)

温度

軸受の過熱、焦げたにおい

油・水・空気

漏れ、潤滑油の汚れや不足

部品の表面

摩耗、亀裂、腐食

同じ試験科目には、潤滑と給油、油圧・空気圧機器、点検表や点検計画書の作成も含まれています。点検は「見て回る」だけでなく、何をどの頻度で見るかを計画し、記録を残す仕事です。

工場設備を点検して結果を記録する設備保全担当者

プラントオペレーター・プラントメンテナンスとの違い

比べる点

設備保全

プラントオペレーター

プラントメンテナンス

主な役割

設備を健全な状態に保つ

設備を運転・監視して製品をつくる

プラントの点検・整備・補修を広く担う

働く場所

工場、物流センター、プラントなど

化学・石油などの製造プラント

プラント

設備との関わり

点検・修理・部品交換・改善

計器を見ながら操作し、異常に気づく

定期修理の工事なども含む

会社によっては、オペレーターが日常点検の一部を担ったり、保全担当が運転の立ち会いをしたりと、担当が重なることがあります。職種名だけで判断せず、担当業務を確認してください。プラントの運転については「プラントオペレーターの仕事内容」、プラントの補修工事については「プラントメンテナンスの仕事内容」で扱っています。

担当設備で変わる、役立つ資格

設備保全として入職するために、全員があらかじめ取得しなければならない1つの資格があるわけではありません。ただし、求人ごとに応募条件は異なり、担当する作業によっては法令で定められた教育の受講や資格が必要になります。

job tagの「物流設備管理・保全」でも、入職に特に学歴や資格は必要とされないとしつつ、クレーンを操作する場合は特別教育や技能講習が必要になる例が挙げられています。

担当する設備・作業

関係する資格・教育の例

押さえておきたいこと

機械設備全般

技能検定「機械保全」

技能の水準を評価する国家検定(技能検定)。働き始めるための免許ではない

電気の配線や機器

電気工事士、電気取扱業務の特別教育

電気工事士法上の電気工事に当たる場合は、設備の区分や作業内容に応じた資格・認定が必要

ボイラー

ボイラーに関する免許・技能講習・特別教育

ボイラーの種類・規模と担当業務によって必要なものが異なる

危険物を扱う設備

危険物取扱者

自ら取り扱うか、甲種または対応する類の乙種の危険物取扱者の立会いが必要

部品の吊り上げ・運搬

玉掛け、クレーン、フォークリフト

つり上げ荷重や最大荷重で、技能講習か特別教育かが変わる

機械保全技能検定は特級・1級・2級・3級に分かれ、特級を除く各級で選択作業別に試験が行われます。選択作業には機械系保全作業、電気系保全作業、設備診断作業があります。技能検定の受検資格は、等級のほか、実務経験、学歴、職業訓練歴などによって異なります。

job tagでは、関連資格として民間資格の「自主保全士」も紹介されています。

未経験から入る場合の最初の仕事

job tagの「物流設備管理・保全」のタスクには、設備の定期点検、注油、軽いライン停止からの復旧、清掃、点検結果の記録、部品の交換、構内の巡回点検などが挙がっています。一定の現場対応ができるまでには1年以上の経験が必要とされているとも紹介されています。これはjob tagの「物流設備管理・保全」で紹介されている目安であり、工場やプラントを含むすべての設備保全職に一律で同じ期間が必要という意味ではありません。

未経験の場合は、先輩と一緒に巡回点検を回り、注油や清掃、点検表への記録から覚えていく形があります。担当は会社によって異なります。記録を書きながら「いつもの音」「いつもの温度」を覚えることが、異常に気づく力の土台になります。

勤務の時間帯:設備が止まっている時間の作業

job tagの「物流設備管理・保全」では、物流センターの勤務は交代制で、早番は設備が動き出す前に出勤し、止まっている間にしかできないコンベアベルトやモーターの点検・交換を行う例が紹介されています。

工場やプラントでも、設備を止めて行う点検があるかどうか、夜間や休日の作業があるかどうかは職場によって異なります。寮から通う場合は、早番・遅番・夜勤の時間帯に合わせて通勤手段と食事がどうなるかも確認しておきます。通勤と食事については「寮から現場までの通勤」「社員寮の食事」の記事でまとめています。

求人票で確認するポイント

項目

見るところ

確認したい理由

職場の種類

工場、物流センター、プラントのどれか

設備の種類と勤務の組み方が変わる

担当設備

機械系、電気系、ボイラーなどのユーティリティ

役立つ資格と覚える知識が変わる

保全の中心

予防保全中心か、突発の故障対応が中心か

1日の仕事の組み立て方が分かる

勤務の時間帯

交替制、夜勤、休日の点検の有無

生活リズムと手当の扱いを確認できる

資格

必須か歓迎か、取得支援の有無

入社後の目標が分かる

住まい

寮・社宅、通勤手段

交替勤務と両立できるかを確認できる

面接で聞いておきたい質問

  • 担当するのは機械系と電気系のどちらですか。両方ですか

  • 入社後しばらくは、どの設備のどの点検から担当しますか

  • 大きな故障のとき、社内で直す範囲とメーカーに依頼する範囲はどう分かれていますか

  • 夜間や休日に、設備を止めて行う点検や工事はありますか

よくある質問

Q. 機械いじりの経験がなくても設備保全はできますか?

入職に特定の資格が全員に必要なわけではありません。ただし、求人ごとに応募条件は異なります。点検・記録・清掃などから始めて知識を積んでいく形があるため、入社後の教育の進め方を面接で確認してください。

Q. 設備保全とプラントメンテナンスは同じ仕事ですか?

どちらも設備を健全に保つ仕事ですが、職場によって呼び方と担当範囲が違います。プラントの定期修理の工事を担う場合もあれば、工場の中で日常の点検・修理を担う場合もあります。求人票の業務内容で確認してください。

Q. 機械保全技能検定を取らないと働けませんか?

機械保全技能検定は技能の水準を評価する国家検定で、働き始めるための法令上の必須免許ではありません。ただし、求人ごとの応募条件は異なります。

まとめ

応募する前に、3つの質問に自分で答えられるか確かめてみてください。

  • その職場の設備は、機械系・電気系・ユーティリティのどれが中心ですか

  • 故障してから直す仕事と、故障を防ぐ仕事、どちらが多い職場ですか

  • 設備を止めて行う点検は、どの時間帯にありますか

3つとも求人票で答えが見つからなければ、面接で聞く項目が決まったということです。音や温度のわずかな違いに気づけるようになるほど、設備との付き合い方は面白くなっていきます。

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